ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

“Girlchild” 雑感

 今年のアレックス賞受賞作のひとつ、Tupelo Hassman の "Girlchild" を読んでいる。ほんとうはこの土日で読みおえたかったのだが、アルコールその他、諸般の事情で挫折してしまった。
 アレックス賞といえば、本書の前に取り組んだ Robin Sloan の "Mr. Penumbra's 24-Hour Bookstore" もそうだったが、ぼくの乏しい読書体験を思い起こすと、比較的ストーリー重視型の小説が多いような気がする。ヤングアダルトの読者が対象ということが関係しているかもしれない。
 ところが、この "Girlchild" は今まで読んだかぎり、どちらかというと表現重視型の小説のようである。その点、アレックス賞にしては異色作といえるかもしれない。
 舞台はネヴァダ州の田舎町。主人公は、トレーラーハウスで母親と二人で暮らす Rory Dawn Hendrix という孤独な少女。母親はバーで働いている。Rory の幼いころからの家庭や学校での生活と当時に、母親の娘時代からの奔放な人生も描かれる。どちらも断片的なスケッチが中心で、日記風の記述はもちろん、何かと問題を起こす母親と面接したソーシャル・ワーカーの報告書や、祖母の手紙なども混じり、さながら文学コラージュのようだ。
 中にはピンとこないスケッチもあるが、ユーモラスなくだりや、しんみりする話もけっこう多い。テーマは親子の絆、家族愛だろうか。……と書いたところで眠くなってきた。きょうはおしまい。