ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

William Maxwell のことなど(3)

 風邪だと思うが、頭痛がとれず絶不調。おまけに通勤電車の中でしか読むひまがないので遅々として進まないが、"The Chateau" がどんな小説なのか少し見えてきた。
 第2次大戦が終わって3年後、アメリカ人の若い夫婦が(今のところ)フランスを旅する話で、風景はもちろん、泊まった部屋の様子や出会った人々の特徴、二人の性格、人生の歩みなどが事細かに描かれていく。Maxwellアメリカの作家だが、何だかイギリスか旧大陸の小説のようだ。…と思って裏表紙を見たら、オースティンやツルゲーネフトルストイなどを引き合いに出した寸評が載っている。なるほど。これは腰を据えて読まないといけない。時間がかかりそうだ。
 話は変わるが、昨日は『愛の嵐』と『嵐が丘』を関連づけて、つい「闇の力」という言葉を使ってしまった。「理性では計り知れない闇の力」とはいったい何なのか。何やらいわくありげで、実際は意味不明…。が、じつはぼくは、昔拾い読みした次の本のことを思い出していた。

Power of Blackness: Hawthorne, Poe, Melville

Power of Blackness: Hawthorne, Poe, Melville

 無責任な話を続けるが、ハリー・レヴィンが「闇の力」をどのように説明していたかは憶えていない。同じくメルヴィルを扱った研究書なら、"Fine Hammered Steel of Herman Melville" というミルトン・スターンの本のほうがまだ記憶に残っている。
 …何だか支離滅裂になってしまったが、要は、「闇の力」の本質について考えるには、メルヴィルが手がかりになる、ということを言いたかったのだ。今日はここまで。