ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

"Not Untrue and Not Unkind" 雑感

 William Trevor の "Love and Summer" に続いて、同じく今年のブッカー賞候補作、Ed O'Loughlin の "Not Untrue and Not Unkind" に取りかかった。Willliam Hill がつけたオッズは14/1。「泡沫候補」のひとつのようだが、例年、ロングリストの下位から受賞作が飛びだす傾向もあるので侮れない。"Love and Summer" の雑感では上位6作のオッズを紹介したが、下位6作は次のとおり。
  本書と Simon Mawer "The Glass Room" 14/1, James Scudamore "Heliopolis"16/1,
  Adam Foulds "The Quickening Maze"16/1, Sarah Hall "How to Paint a Dead Man" 16/1,
  Samantha Harvey "The Wilderness Room" 16/1
 さて、この "Not Untrue and Not Unkind" だが、今週は仕事が忙しくボチボチしか読めないせいか、どうもノリが悪い。主人公はアイルランドのベテラン新聞記者 Owen。やはり古参の同僚が最近死亡し、その記録ファイルをあけてみると、10年前、ザイールで Owen が撮った写真が入っていた。それをきっかけに、アフリカ時代の回想が始まるという設定だ。
 今はダブリンでのんびり暮らしている Owen だが、10年前はアフリカで「ヒーロー」だったという記述もあるので、その昔、どうやら大事件が起きたらしいことは分かる。事実、当時はモブツ大統領政権の末期で、カビラ議長率いる反乱軍が国土の大半を制圧しつつあった時代。…などと知ったかぶりで書いたが、ぼくは国際情勢にうといので急遽、ネットで時代背景を調べた次第だ。
 が、今まで読んだ範囲で言えば、さしたる事件はまだ起きていない。現地で Owen がほかの報道記者やカメラマンなどと知り合い、取材の模様が描かれる一方、女性関係もちらほら見え隠れする。が、思わず引きこまれるようなエピソードが今のところ少ないので、電車の中で読んでいるとつい睡魔に襲われる。今後の盛り上がりを期待したい。