ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

"The Land of Green Plums" 雑感(1)

 年末が近づき職場は「農繁期」たけなわ。ただでさえ落ち着いて本が読めないうえに、またもや風邪でダウン。毎度のグチながら、まったく年は取りたくないもんだ。
 それでも少しは英語の勘を取り戻さねばと、今年のノーベル文学賞受賞作家、Herta Muller(Muller の u にはウムラウトがつくが、コピペするのも面倒くさいので省略) の "The Land of Green Plums" に取りかかった。ぼくはノーベル賞にはかなり偏見をもっていて、多少なりとも知っている作家はいつもだいたいパスしているのだが、今回はまったく初耳の作家だったので興味を惹かれた。おそらく新聞などで紹介済みとは思うけれど、いちおう裏表紙のプロフィールを引用すると、ドイツ系ルーマニア人で、チャウシェスク体制下の秘密警察に協力を拒み弾圧を受け、1987年にドイツに亡命とある。(その続きは未読)。
 まだほんの50ページほどしか読んでいないが、ううん、これはむずかしい! 英訳ということもあって英語的には非常に簡単、たぶん高校生でも読めるんじゃないかと思えるほど。それから、言いたいことも、しばらく我慢して読んでいるとだいたいわかる。つまり今のところ、どうやら全体主義国家の恐怖や狂気がテーマらしい。
 が、ひとつひとつのパラグラフ、いや、ワンセンテンスでさえ非常に寓話的でシンボリックな書き方をしている場合が多く、それが具体的にいったい何を意味しているのか、もともと読解力のないところへもって、風邪で頭の痛いぼくにはピンとこないことが多い。でもこれきっと、読む人が読めば、ちゃんと何の話かわかるんだろうな。
 というわけで四苦八苦。都会の大学に入った田舎娘が党員となり、同じ寮の友人たちは警戒していたが、娘はいろいろな男と関係したあげく自殺。その死がじつは…というのが今までの粗筋だが、上の事情でピッチがあがらず、かなり時間がかかりそうだ。