ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

"A Mercy" 雑感

 職場の農繁期が終わったあと、ボチボチ仕事をしながら同じくボチボチ Toni Morrison の "A Mercy" を読んでいる。ニューヨーク・タイムズ紙が選んだ一昨年の年間最優秀作品のひとつだが、ペイパーバック・リーダーの僕はハードカバーには手が出ず、今ごろになってようやく落ち穂拾い。こんな本はほかにも山ほどあって、つい買いそびれてしまっているものも多い。
 トニ・モリスンといえば、なんと言っても『ビラヴド』が有名で、ぼくもずいぶん昔読んだが、例によって内容はさっぱり失念。なんとなくシンドかった憶えだけある。というわけで、ほとんど初読の作家に近い。
 舞台は17世紀のメリーランド州の町。黒人の若い娘 Florens の独白で始まり、詩的というのか寓話的というのか、最初は今いちピンとこなかった。が、そのあと Florens の主人 Jacob や、召使いのインディアン女 Lina、Jacob の妻 Rebekka などが交代で主役をつとめ、その合間に Florens の独白が混じるという展開。それを読んでいるうちに少しずつわかってきた。
 テーマは、ううん、孤独な人間同士の結びつき…孤独と愛…かな。主役はまあ Florens だと思うけど、彼女は幼い娘時代、Jacob が買い取った奴隷ということで家族とは生き別れ、孤児と言ってよい。その Jacob も少年時代、孤児として路上生活を体験。妻の Rebekka も Jacob との結婚により家族と別れ、故国イギリスを離れて渡米。さらに、召使いの Lina も一家離散の憂き目に遭い、Jacob に拾われている。
 そんな孤独な人間同士が出会った末に…という物語のようだが、じつはこれを書いているあいだにワインをしこたま飲んでしまい、頭が働かない。ダウン寸前だが、最近ぼく自身が経験した事件をふりかえるにつけ、人間はすれ違いに勘違い、しょせん孤独だなあ、と思う。その一方、また会いましょう、というちょっとした旧友の言葉に落涙もする。そんな孤独と愛?が本書のテーマなのかも…。
 またまた支離滅裂な感想になってしまった。今日はここまで。