ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

Ruta Sepetys の “Between Shades of Gray” (2)

 ようやく体調の回復をかなり実感できるようになった。やっぱり首のストレッチが効いたようだ。しかしまだ完全ではないので無理は禁物。今日も休養に徹し、仕事はせず本も読まずに過ごした。
 さて本書の続きだが、のこりの数十ページを昨日読んでいたら最後、え、そうだったの、という記述があり、さっそくレビューに反映させることにした。途中からうすうす感じてはいたのだが、これ、完全なフィクションではなく、実際にあった話がけっこう盛りこまれているらしい。
 作者の後記によると、彼女の父親はリトアニア軍将校の息子で、本書にあったように両親ともども国外へ脱出、ドイツを通じて難民キャンプにたどりついたという。が、のこりの一族郎党は、これまた本書のとおりシベリアへ追放され、長い抑留生活で塗炭の苦しみを味わったとしるされている。
 作者は取材のため2度にわたってリトアニアを訪問、生き残っている抑留者やその家族と面談し、そこで聞いたいろいろな話から生みだされたのが本書ということである。人物はもちろん架空だが、最後に登場する Dr. Samodurov だけは本物なんだそうだ。胸のすくような快男子だからいかにもフィクションくさいと思ったが、スターリン時代の旧ソ連の体制側にも人間味あふれる人物がいたという事実にホッとさせられる。そのあたり、もっと読んでみたかったな。内容的にバランスはくずれるけれど。
 ほかにもっと書きたいこともあるが、「無理は禁物」なので今日はこのへんで。