ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

Ruta Sepetys の “Between Shades of Gray” (3)

 「ほかにもっと書きたいこと」の前に、日本語で書かれたリトアニアをはじめバルト3国にかんする本を3冊、知人から紹介されたので、それをまず受け売りで列挙しておこう。

リトアニア―民族の苦悩と栄光

リトアニア―民族の苦悩と栄光

ポーランド・ウクライナ・バルト史 (世界各国史)

ポーランド・ウクライナ・バルト史 (世界各国史)

 とりわけ、2番目に挙げた『リトアニア 民族の苦悩と栄光』の99ページから始まる「世紀の悲劇――ジェノサイド」を読んだぼくは、ざっと目を通しただけで、陳腐な形容だが背筋が寒くなってきた。1箇所だけ引用しておこう。
 「リトアニアは国家がまだ独立国として存在していたにもかかわらず、ウクライナ、ラトヴィア、エストニアと共にソビエトによる国民の計画的絶滅政策(ジェノサイド)に遭遇することとなった。これはナチスによるユダヤ人絶滅政策と共に二十世紀の人類社会に例を見ない凄惨な計画であった」。
 ぼくは "Between Shades of Gray" の雑感で、「ナチスによるユダヤ人の迫害や、スターリンの恐怖政治などでおなじみの『あの話』です。目新しいのは、旧ソ連国民ではなく、バルト3国の人々が犠牲者として描かれている点で……」などと、ずいぶんノンキなことを書いている。そのくだりをもし作者やリトアニアの人たちが読んだとしたら、「何をバカな、何をノーテンキな!」と、きっと憤慨するにちがいない。「だから東洋の島国の、平和ボケした極楽トンボは困るのよね!」
 という事実を厳粛に受けとめたうえで、さて「ほかにもっと書きたいこと」があるのだが、なにしろ体調を考えると「無理は禁物」。もったいぶるようですが、今日もこのへんで。