ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

“The Ghost Rider” 雑感

 ベストテンの季節だが、とりあえず Ismail Kadare の "The Ghost Rider" をボチボチ読んでいる。これも先月読もうと思っていた本で、半月以上も予定がずれこんでしまった。
 Kadare の作品を読むのはこれで3冊目。夏に "The Palace of Dreams" を読んだあと書棚をながめたら、"Doruntine" が積ん読になっていた。以来、ずっと気になっていたが、たまたまネットを検索したところ、その英訳本の改訂版が出ていることに気がついた。それが本書である。
 'updated, with new sections added' とのことだが、冒頭だけ両書をくらべると、パラグラフの構成に違いがあるものの、本文自体は変わっていない。きっと、もっと先のほうで加筆されているのだろう。
 まだほんの序盤だが、これはなかなかおもしろい。舞台は中世らしいアルバニアの町。遠方の国へ嫁いだ名家の娘 Doruntine が結婚後、初めて家に帰ってくる。兄の Kostandin (前の訳では Constantine)に連れ添われて、というのだが、Kostandin はなんと3年前に戦死したはず。話を聞いた母親ともども Doruntine はショックで寝こみ、やがて2人は息を引きとってしまう。
 死者がよみがえったのか、それとも、何か事情があって Doruntine が付き添いの男の正体を隠していたのか。地方警察の署長 Stres が捜査に乗りだすが……。
 明らかに寓話らしいが、今のところまだその意味は不明。Kadare のことだから、全体主義体制を諷刺したもののような気もする。さてどうなるんでしょうか。