ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

Adriana Trigiani の “Home to Big Stone Gap” (2)

 きのうのレビューに載せたカバー写真を見ればおわかりのとおり、これは見た目にとても魅力的。というわけで数年前にジャケ買いしたのだが、長らく積ん読のままだった。
 この、ぼく流にいえば「見てくれ買い」、いままでわりとヒット率が高いのだけれど、今回はハズレ。4日前に読みおえた Trigiani の最新作、"The Shoemaker's Wife" がとてもよかっただけに残念だ。
 ただ、8年ぶりに同一作家の作品を連続して読んでみて、そのメリットは感じている。当たり前の話だが、テーマやシチュエーション、キャラクターなど、いろいろな面で共通する特徴があり、パターンをつかみやすい点だ。お気に入りの作家なら、お、また出ましたね、と拍手したくなるかもしれない。
 が一方、あれ、またですか、と飽きてしまう恐れもある。今回がそうだった。とりわけ、人情小説特有の通俗臭が鼻についてしまった。
 とはいえ、見てくれ買いであろうとなかろうと、紹介記事もろくに読まず、自分の勘だけを頼りに未知の作家、未知の作品に取り組むのは、今回のようにハズレもあるが、当たったときの喜びは格別である。本書と同じローカル・ピース物でいえば、(あとで有名な作品とわかったが)Barbara Kingsolver の "Prodigal Summer" [☆☆☆☆★] や、Kent Haruf の "Plainsong" [☆☆☆☆★] に出会ったときの昂奮はいまだに忘れられない。だからやっぱり、「連続読み」はなるべく避けたい。
 その両書に匹敵する出来ばえかどうかはわからないが、Big Stone Gap シリーズの第1作も、この最終作から判断するかぎり、かなりイケそうだ。今回紹介された昔のエピソードを忘れたころにでも読んでみようと思う。

Big Stone Gap: A Novel

Big Stone Gap: A Novel

 なお、最終作を除いた合作本も出ているようだ。
The Big Stone Gap Trilogy: Big Cherry Holler, Big Stone Gap, Milk Glass Moon

The Big Stone Gap Trilogy: Big Cherry Holler, Big Stone Gap, Milk Glass Moon