旅行4日目。網走湖〜銀河・流星の滝〜層雲峡〜然別湖という日程。だんだん疲れがたまってきて、バスの中では爆睡モードだったが、それでもホテルに着いて何とか1話だけ読み進んだ。
この "LiLy" は昨日の "Our Lady of Paris" とほぼ同じくらいの出来ばえである。本書は作者の処女短編集ということだが、もし初出順に作品が配列されているのだとしたら、前作でひと皮むけたあと、その成長のあとがここでもうかがえるということかもしれない。
舞台はふたたびパキスタンで、主人公はイスラマバードの良家の女。いつもの地主は今回初めて顔を出さず、その代わり、前作に登場した地主の息子の家でパーティーがもよおされたとき、その女がある農場主に見そめられて結婚するものの…という話だ。
ここでもやはり、「静かに揺れ動く感情のさざ波がすばらしい」。さらには、女の人生や心理が結晶化されたような場面がいくつかあり、こういう「永遠の一瞬」を見事にとらえた短編に出会ったときの喜びはたとえようもない。
まだあとひとつ読み残しているが、たったこれだけの分量でもケータイで書くとえらくしんどい。今日はもう読むのをやめて寝るとしよう。