ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

“The Boy Who Couldn't Sleep and Never Had To”雑感(3)

 中盤を過ぎたあたりからやっと本番が始まった! そこで前半をふりかえると、それまでずっと本番を導くためのイントロ、伏線であったことがわかる。昨日本書に貼った「ごくふつうの青春学園小説」というレッテルは、大急ぎで剥がさないといけません。やれやれ、いつもながら読みが浅くてわれながらイヤになる。
 しかも、後半に入るとSFというか何やら謎めいた要素が混じってきて、その本番の正体がイマイチつかめない。もちろん「眠れない少年」が大いにかかわっているのだが、ネタはもうばらせない。とにかく、青春小説の路線を継承しつつ、途中からどんどんヘンテコリンな話に変わっていくところが面白い。
 一つはっきり言えるのは、これが『トム・ソーヤーの冒険』あたりを鼻祖とする、2人の少年の冒険物語であることだ。2人は高校の同級生で、同じ女の子を好きになってケンカもするが、じつはそこにも裏話があって…。
 2人は一緒にSF映画の構想を練っているくらいだから、主人公の言葉を借りれば、いかにも nerdy な少年たちだ。そのうち「眠れない少年」のおかげで、その秘密を解き明かそうとする男から逃れようと、2人はドタバタ気味の冒険を余儀なくされる。ドラッグ、セックス、ロックの生演奏、ダンス…現代の若者の風俗を前面に押し出し、活きのいい若者言葉で綴った現代版『トム・ソーヤーの冒険』…なのかな。でも、まだ何かありそうです。