きょうは仕事始めのところが多かったはずだが、ぼくは愛媛の宇和島という田舎町に帰省。途中、松山に寄り、前から気になっていた〈踊るうどん永木〉で醤油うどんを食べた。評判どおり、とてもおいしかった。
そのあと、ほんとうに久しぶりに子規堂を拝観。子規のほかに漱石直筆の原稿もあり、感慨深かった。「よき年を祈る海の青燦々と」――昔の拙句です。
閑話休題。きのうの続きだが、恥ずかしながら Munro の作品を読むのは初めてなので、この最新短編集が彼女としてどれくらいの出来ばえなのかはわからない。一話ずつ5点満点で採点した結果、平均4点弱。旧作のほうがいいと言う人もいるかもしれない。ただ、心象スケッチが心にしみたので★を一つおまけし、☆☆☆☆にした。本が手元にないので引用できないが、表題作の最後のセンテンスが泣かせる。
短編のほうでは、いちばん長い第8話 “Train” がゴヒイキ。第二次大戦が終わり、カナダの田舎に若い兵士が帰ってくる。が、なぜか途中で列車から飛び降りて「逃亡」。やがて近くの農家に住みこみ、ボロ家の修復に励んだりしているうちに、そこの女と仲良くなり……という単純な話かと思ったら、さにあらず。いろいろ紆余曲折があって、冒頭の列車の場面に戻ったのには驚いた。途中経過がおもしろく、出だしのことなどすっかり忘れていたからだ。
……例によって不得要領の紹介だが、これなどまさに偶然の連続で、実人生ではこんなことないだろうけど、いやあるかもね、と思ってしまう。そんな話が多いという意味でも、“Dear Life”とは言い得て妙のタイトルです。