ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

2021-06-01から1ヶ月間の記事一覧

Patricia Lockwood の “No One Is Talking About This”(2)

これは今年の女性小説賞最終候補作だけど、じつは女性小説賞というのにはあまり興味がない。もう十年以上も昔の記事で紹介したことだが、当時のガーディアン紙に載った女流作家 A. S. Byatt のコメントを読んで、わが意を得たりと思ったものだ。The British …

William Faulkner の “The Reivers”(1)

William Faulkner の最後の長編 "The Reivers"(1962)を読了。Faulkner は本書の刊行後に他界したが、翌1963年、本書で "A Fable"(1954 ☆☆☆★★★)以来二度目のピューリツァー賞受賞。1969年には、"The Reivers" はスティーヴ・マックィーン主演で映画化され…

Benjamín Labatut の “When We Cease to Understand the World”(2)

今年もこの季節、イギリスの文学ファンのあいだでは、ブッカー賞のロングリストに入選しそうな作品の予想で大いに盛り上がっている。世界のどの文学賞でも、本選はおろか、予選の前からこれほど下馬評の飛びかう賞はほかに例がないのではないか。 ぼくも久し…

Ivy Compton-Burnet の “Manservant and Maidservant”(1)

イギリスの女流作家 Ivy Compton-Burnet(1892–1969)の "Manservant and Maidservant"(1947)を読了。さっそくレビューを書いておこう。 Manservant and Maidservant (New York Review Books Classics) 作者:Compton-Burnett, Ivy NYRB Classics Amazon [☆…

2021年ピューリツァー賞発表 Lydia Millet の “A Children's Bible”(2)

あああ、先日の国際ブッカー賞につづいて、ピューリツァー賞も予想が外れてしまった。といっても、本気で当てようと思っていたわけではなく、P Prize.com のランキングで上位の作品を4冊読んだだけ。 そのなかで、いちおう "Deacon King" に期待していたの…

2021年国際ブッカー賞発表 David Diop の “At Night All Blood Is Black”(2)

ちょっと驚いた。「竜頭蛇尾のアレゴリー小説」とぼくがケチをつけた "At Night All Blood Is Black" (☆☆☆★)が、大方の予想に反して国際ブッカー賞を受賞するとは! もっとも、本書は2番人気だったので、なかには予想が的中した現地ファンもいる。ぼくは…