この土日は「自宅残業」に始まり、切りがついたところで家の大掃除。おかげで、せっかく読みだした Marian Keyes の "The Brightest Star in the Sky" もなかなか進まないが、何とか1回目の雑感くらいは書けそうになった。数少ないペイパーバックで読める今年の話題作のひとつで、アマゾンUKの年間ベスト10に選ばれている。
例によって不勉強のぼくは知らなかったが、この Marian Keyes という作家はイギリスではけっこう売れっ子らしい。というのも、表紙の裏を見ると、本書と似たようなカバー絵の本がペンギンからすでに7冊も出ている。ざっと検索したところ、"The Other Side of the Story" (04) と '"Anybody Out There" (06) が評価が高いようだ。
…と、ぼくには珍しく書誌的な話でお茶を濁しているのは、じつはまだ、どんな小説かよくわからないからだ。個々のエピソードはコミカルで面白く、たぶんハッピーエンディングになるだろうけど、その前にひと波乱ありそう…いや、600ページを超える大作なのでいくつもヤマがあるんだろうな、という気はする。章題は 'Day 61' に始まり、今は 'Day 59' に入ったところなので、何やら大事件に向かってカウントダウンしているのかも。
よくわからない原因のひとつは、語り手の「私」がまだ正体不明だからで、この「私」があるマンションの住人たちの生活風景をどんどん紹介していく。最初はヒッチコックの『裏窓』に似ているなと思ったが、こちらは窓から観察するのではなく、なぜか相手の知らぬまに室内に入りこみ(それとも、「目だけ移動している」のかな)、その言動を逐一実況中継。相手の頭にうかぶ回想を通じて、今までの人生経路も語り明かしている。さてこの「私」、幽霊なのか超能力者なのか…。
とまあ、わけがわからないまま読んでいるのだが、それでもけっこう面白い。ウィットに富んだ切れ味鋭い repartee が多く、スラップスティック風の出来事もかなりあるからだ。上の謎にも惹かれている。五里霧中とまでは言わないが、え、何だろ何だろ、と思いながら読んでいるときが最高なのかもしれない。