ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

“The Imposter Bride” 雑感

 昨年のギラー賞最終候補作、Nancy Richler の "The Imposter Bride" を読んでいる。いまネットを検索すると、日本ではまだハードカバーしか出ていないようだが、ぼくはわざわざカナダからペイパーバック版を取り寄せた。送料込みで99円高くついたが、ぼくは基本的にペイパーバック・リーダーなのだ(べつに粋がることではないですが)。
 本書をどうしても読みたくなったのは、これが Shadow Giller の受賞作だからである。Shadow Giller とは、正式のギラー賞とはべつにおこなわれるファン投票のことで、2009年から始まったようだ。去年の juror は、ぼくのアンテナにも載せているブログ、KevinfromCanada, Reading Matters, the Mookse and the Gripes の各ブログ主と、Globe and Mail 紙の編集者 Alison Gzowski の計4人である。
 過去のギラー賞受賞作とこのファン投票の結果を、ぼくの評価とあわせて紹介しておこう。2009年は、どちらも Linden MacIntyre の "The Bishop's Man" [☆☆☆★★★]。2010年は、本家が Johanna Skibsrud の "The Sentimentalists" [☆☆☆] で、Shadow は Alexander MacLeod の "Light Lifting" [☆☆☆☆]。2011年は、本家が Esi Edugyan の "Half Blood Blues" [☆☆☆★★] で、Shadow は David Bezmozgis の "The Free World" [☆☆☆☆]。
 去年の本家は Will Ferguson の "419" だが未読。来月26日にカナダでペイパーバック版が出るようだが、日本では発売されそうもない。ちなみに、"The Imposter Bride" のペイパーバック版も日本では発売予定に入っていない。
 というわけで、過去3年の結果からして、ぼくはこの "The Imposter Bride" に大きな期待を寄せるようになった次第である。
 で、実際読んでみると、その期待にたがわず、これはとてもおもしろい! ストーリー重視型の作品のようだが、視点や場面、時代が巧妙に変化し、人物の性格や心理、人生の軌跡などがしっかり書きこまれた重厚な作風である。……中途半端だが、少しでも先を読みたいので、きょうはこのへんで。