ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

"Eileen" 雑感 (1)

 きのう Ottesssa Moshfegh の "Elieen" と、Madeleine Thien の "Do Not Say We Have Nothing" を落手。アマゾンUKに注文していたものだが、同時に日本経由で頼んだもう1冊のブッカー賞候補作は発送もされていない。どうなってんだろ。
 上の2作のうち、薄いほうの "Eileen" を先ほど読みはじめたが、それまでは Colin Barrett の "Young Skins" をボチボチ読んでいた。2014年のフランク・オコナー国際短編賞(Frank O'Connor International Short Story Award)、および同年のガーディアン紙新人賞(Guardian First Book Award)のダブル受賞作である。
 フランク・オコナー賞のほうは2005年に制定され、われらが Haruki Murakami も受賞したことで日本のファンにもおなじみだが、なんと2014年で廃止。ぼくは昨秋、本ブログを再開するまで知らなかった。
 全10冊の受賞作のうち、数えてみるとぼくは5冊読んでいた。2011年には最終候補作も3冊。同じくブログ休止中に廃止された英連邦作品賞(旧英連邦作家賞)よりも、はるかに熱心に追いかけていたことになる。
 というわけで、まったく残念だなあと思いながら "Young Skins" を読みはじめたのだが、最初の4話は、まずまずの出来かな。どれもアイルランドの田舎町が舞台で、若者から中年まで男が主人公。スラング混じりの生き生きとした文体がなかなかいい。心にしみる場面もある。
 が、女とのすれ違い、ボタンの掛け違いが共通したテーマらしく、その意味ではよくある話だ。たまたま寝床で山田詠美の『風味絶佳』を読んでいるが、われらが日本女性軍も負けてはいませんぞ。
 第5話の "Calm With Horses" は中編と言ってもいいくらいの長さで、これがメインかもしれない。本書で初めてノリノリの感じがしてきたが、残念ながらきょうはストップ。本題の "Eileen" を読みはじめた。
 こちらもおもしろい。といっても、読み物としておもしろい、という意味で、前回までくだくだしく論じていた "Embers" のような知的昂奮を覚えるものではない。
 だから文学的深みはどうかなあ、と思いつつ、じきに起こりそうな大事件の前でひと休み。さて、どういう事件なんでしょう。
(写真は、何回か前にアップした宇和島市浄満寺の裏手、辰野川ぞいの桜街道)