ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

"Look at Me" 雑感(1)

 つい先ほどまで一杯やっていた。だからきょうはお休みしたかったのだけれど、カウンターを見ると、こんな泡沫ブログでも、どなたか奇特な方が読んでくださっていることがわかる。だから何か書きます。
 水曜日、獺祭の発泡にごり酒を飲みながら見ていた映画は『三人の妻への手紙』。2回目だったが、途中でわけが分からなくなり、きょう改めて最初から、こんどはワインを飲みながら見直した。感服!
 とりわけ、狂言まわしのアディを一度も登場させないのに、アディをめぐって話が進むところがうまい。それから、カーク・ダグラスの相手役が、リンダ・ダーネルでもジーン・クレインでもない、という配役は絶妙だと思う。美男美女のカップルなら夫婦の危機は訪れまい、というのが世間一般の「常識」だろう。不釣り合いだからこそ、その危機に現実味がある。
 美男美女のカップルは、いま通勤時に読んでいる "Look at Me" にも登場。その二人に魅せられた平凡な中年?女性 Frances が主人公だ。
 まだいくらも読んでいないので文字どおりの雑感だが、これはいかにもイギリスの小説らしい小説です。何しろ Frances と、それから理想のカップル Nick と Alix、および彼らを取り巻く人物たちのキャラ作り、その心理的な相関図に相当な紙幅が割かれている。
 さらには、Frances の勤務先である医学研究所の図書室や自宅について、室内の様子が家具調度にいたるまで詳細に描かれる。とこう書いただけで、伝統的な英文学のファンなら、ああ、あれですな、とお分かりのことでしょう。
 だからストーリーそのものは、さっぱり進まない。だが、おもしろい。そう、そこがいいのですよ、英文学は。
 ……と、ここまで中島みゆきの「心守歌」、ついで、ムジカ・アンティクヮ・ケルン盤「フーガの技法」を聴きながら書いていた。このムジカ盤、すごいですね。みゆきの歌は、初期のアルバムや「Singles」などを除くと、ぼくには最高のBGM。声だけで心が癒やされます。
(写真は、前々回までアップしていた公園の近くにある民家。今はどなたがお住まいか知らないが、昔はタケダさんが住んでいた。タケダさんの家にはテレビがあり、夕方になると、近所の貧乏長屋の子供たちが集まり、『チロリン村とくるみの木』などを見させてもらった)