ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

Rohinton Mistry の “Such a Long Journey”(1)

きのう、1991年のブッカー賞最終候補作、Rohinton Mistry の "Such a Long Journey" を読了。さっそくレビューを書いておこう。 Such a Long Journey: Faber Modern Classics 作者:Mistry, Rohinton 発売日: 2016/02/04 メディア: ペーパーバック [☆☆☆★★] 人…

David Mitchell の “Number9Dream”(2)

これはほんとうに面白かった! 読んでいる最中はいつまでも物語がつづいてほしいと思い、読後数日たったいまでもまだ心のなかに余韻がのこっている。まるで麻薬でも盛られたような気分だ。こんな経験は最近ちょっと記憶にない。 とはいえ、落ち着いて振り返…

David Mitchell の “Number9Dream”(1)

2001年のブッカー賞最終候補作、David Mitchell の "Number9Dream" を読了。さっそくレビューを書いておこう。 Number9Dream: A Novel 作者:Mitchell, David 発売日: 2003/02/11 メディア: ペーパーバック [☆☆☆☆] 屋久島育ちの青年が、いちども会ったことが…

"Number9Dream" 雑感

連日の猛暑だが、今夏もわが家にはクーラーがない。あるのは、うちわと扇風機だけ。家じゅうの窓を開けはなち、頭に濡れタオルという湯上がりスタイルで過ごし、暑さを感じるたびにその濡れタオルで身体をよく拭き、こまめに水分を補給。これでなんとかしの…

Ben Okri の “The Famished Road”(2)

きょうは終戦記念日。(時差を無視すれば)ちょうど1年前のきょうの夕方、ぼくはマルセイユの海岸通りに面したレストランで、のんびりブイヤベースに舌つづみを打っていた。 あれから1年。世界の状況は現象的には一変した。が、本質的に変化したわけではな…

Ben Okri の “The Famished Road”(1)

1991年のブッカー賞受賞作、Ben Okri の "The Famished Road"(Anchor Books 版)を読了。さっそくレビューを書いておこう。 The Famished Road (The Famished Road Trilogy) 作者:Okri, Ben 発売日: 1992/07/27 メディア: ペーパーバック [☆☆☆☆] 私見だがマ…

Peter Matthiessen の “Shadow Country”(2)

先日ご存じのとおり、今年のブッカー賞ロングリストが発表された。例によって現地ファンは、各自の予想やお気にいりの作品などをめぐって大いに盛り上がっている。これほどファンが熱くなる文学賞も、世界広しといえどもほかにはまずないだろう。 が、全13冊…