ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

David Mitchell の “The Bone Clocks”(1)

David Mitchell の "The Bone Clocks"(2014)を読了。2014年のブッカー賞一次候補作、および2015年の世界幻想文学大賞受賞作である。さっそくレビューを書いておこう。 The Bone Clocks (English Edition) 作者:Mitchell, David 発売日: 2014/09/02 メディ…

"The Bone Clocks" 雑感

このところの急な冷え込みのせいか、ついに風邪をひいてしまった。症状から判断して、たぶんコロナではないと思うけれど、ぼくは微熱でもすぐに頭が痛くなるほうなので万事かったるい。 おかげで、ボチボチ読んでいた David Mitchell の "The Bone Clocks"(…

Peter Carey の “Oscar and Lucinda”(4)

Peter Carey の作品を読むのは10年ぶり3冊目。3冊のなかでは本書がいちばん出来がいい。最近 catch up したブッカー賞の受賞作・候補作に目を移しても、面白度という点では "Number9Dream"(☆☆☆☆)といい勝負。そちらのほうがぼく好みだが、本書のほうが面…

Peter Carey の “Oscar and Lucinda”(3)

今年のブッカー賞ショートリストは、現地ファンにとって大波乱だったようだ。ちょっと拾っただけでも、こんな悲痛な叫び声が上がっている。'What a mess - this year's booker shortlist is a complete disaster.' 'Wow - I'm in absolute shock.' 'This sho…

Peter Carey の “Oscar and Lucinda”(2)

いよいよブッカー賞ショートリストの発表が迫ってきた(ロンドン時間15日)。何度も書いたが、ぼくは "The Mirror & the Light"(☆☆☆★★)を読んだだけで、ほかの候補作は未読。なにしろ、だれがどう見ても今年最大の興味は、Hilary Mantel が Wolf Hall Tril…

Peter Carey の “Oscar and Lucinda”(1)

1988年のブッカー賞受賞作、Peter Carey の "Oscar and Lucinda" を読了。本書は2008年、ブッカー賞設立40周年を記念して企画された the Best of the Booker Prize の最終候補作でもある。さっそくレビューを書いておこう。 Oscar and Lucinda (Vintage Inte…

Rohinton Mistry の “Such a Long Journey”(2)

Rohinton Mistry のことは、長いあいだ気になっていた。ぼくがブッカー賞なるものの存在を知ったのは2000年の夏だが、当時はそれほど関心もなく、その後も最新の、あるいは過去の受賞作を読むだけで、候補作にまでは手を伸ばさなかった。 それでもいつか読も…