ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

Patrick Gale の中間報告(2)

 ようやく仕事の目途がついたので、中断していた Patrick Gale の "Notes from an Exhibition" を昨日からまたボチボチ読みはじめた。ぼくはいつも土曜出勤だが、日曜には「自宅残業」しなければ読了できるかもしれない。
 パターンが見えたところで少し飽きてしまったのも中断の理由のひとつだが、改めて接してみると、なかなか面白い。というのも、山場を迎えそうな気配があるからで、今はそれが一気に盛り上がる手前。読む側の心をじらしているような感じだ。
 画家が主人公のせいか、細部の描写は細かすぎるほど細かい。死亡した画家と、その家族のさまざまな人生の局面を再現した小説で、この作家の作風かどうかは知らないが、いわば「動く風景画」を一枚一枚、丹念に仕上げていく手法。時間的に余裕のある人なら、じっくり腰をすえて読むとハマるかもしれない。
 とはいえ、電車やバスに揺られながら読んでいると、仕事の疲れで睡魔に襲われる。その原因は、あまりに細かすぎてストーリーが進まず、サスペンスをそがれる傾向がなきにしもあらずだから。好みの分かれるところだが、ぼくとしては、もう少しミステリアスな興味で「釣って」ほしい。
 …などと勝手な注文をつけるのも、これがたぶん、人生の真実を鋭くえぐり出し、読者に知的興奮を与えるタイプの小説ではないからだ。いわば高級な文芸エンタメ系。だったら技術的ミスを指摘し、こちらの好みを言ってもいいだろう。まだ途中なので、とんでもない勘違いかもしれないけれど。