田舎から帰ってわが家の大掃除。気分はいいが腰が痛い。そんなこんなで Joyce Carol Oates の "Them" はいくらも進んでいない。そこできょうは1年をふりかえり、マイベスト小説を選ぶことにした。
といっても、今年はと言うべきか、今年もと言うべきか、とにかくたいして読めなかった。とくに夏以降、空前に近い超多忙。こんな生活はもう二度とごめん、と思い、テンプで残る話もあったが、来春定年で退職することにした。
さて、ささやかな読書リストをながめているうちに驚いた。今年最初に読んだのが Tove Jansson の "The True Deceiver"(1982)で、最後に通読したのが Joyce Carol Oates の "Expensive People"(1968)。両書の共通テーマは、「偽」である。「偽」というのは、個人的には今年の世相を表す漢字だと思っていたので、偶然の一致にビックリした。
先日京都の清水寺で発表された今年の漢字は「北」だったが、ぼくにはピンと来なかった。それよりフェイク・ニュースに明け暮れた今年は、「偽」のほうがふさわしいように感じる。
さて "Expensive People" は☆☆☆☆だったが旧作。新作もふくめて、☆4つは2冊しかなかった。自動的にその新作が、今年のぼくのベスト小説ということになる。ブッカー国際賞受賞作、David Grossman の "A Horse Walks Into a Bar"(2016)である。
来春からいよいよ年金生活だ。いままで以上に財布のヒモを締めないといけない。だから新作は買い控え、積ん読の山を切り崩すほうが主体になると思う。去年と同じセリフだが、来年こそ1冊でも多く読みたいものだ。
数少ないリピーターのみなさま、どうぞよいお年を。