やっと読みおえた! 途中、二度も中断したので1ヵ月近くかかってしまったが、じっくり腰をすえて取り組んだとしても、ぼくの実力では軽く1週間は要したことだろう。英米の小説でこんなに長い作品を読んだのは、2年前のブッカー賞候補作、Nicola Barker の "Darkmans" 以来だ。あちらは800ページ強で、本書より100ページほど長いが、その割には早く読了した憶えがある。http://d.hatena.ne.jp/sakihidemi/20070924 今回は仕事が超多忙だったとはいえ、やはり確実にボケが進行しているようだ。
今日は読むだけで精いっぱい。とてもレビューを書く気にはなれないが、昨日の雑感で、「最後に一気に盛り上がりそうな気配もある」とふれた結末についてだけ述べると、この予想はほとんど当たらなかった。たしかに「長らくオーストラリアに移り住んでいる娘と、彼女にその昔あこがれていた隣家の息子(次男)」は再会するのだが、その中身は想像だにしなかったもので、再会がもたらす結果も読めなかった。
しかも、二人の再会で本書が終わるのかと思ったら、さらにまた別のエピソードが続き、レストランを経営している長男の話題でようやく終了。結局、最後の最後まで予想は外れっぱなしだった。その原因はもちろん、昨日も書いたように、ぼくが未練がましく結末にも「物語全体の骨格をなす主筋」がもたらす「強烈な求心力」を期待していたからである。
ただ、「求心力」とまでは行かないにしても、この再会には第1部で起きた事件の説明が含まれているし、昨日読んだ部分にも、同じく第1部で通常ならカットされるような引っ越しの場面がえんえんと続いた理由が示されている。あらゆるエピソードに因果関係があるわけではないが、二つの家族のメンバーを中心にすえた「心理の糸」が読みとれる。それが本書の鍵のひとつかもしれない。