ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

“Secret Daughter”雑感

 カナダでもっか、大ベストセラーとなっている Shilpi Somaya Gowda の "Secret Daughter" に取りかかった。これは先月、Alexander MacLeod の "Light Lifting" をどうしても読みたくてカナダから取り寄せたとき、あちらのベストセラー・リストに載っているのを見て知った本である。今も先月と同じく、"Room" に続いて文学・小説部門の第2位をキープ。
 ところが、英米ではそれほど売れているわけではないようだ。なぜカナダだけで人気を博しているのかはわからないが、ともあれ知らない作家の知らない作品ということで興味をそそられた。昨日読みおわった Peter Rock の "My Abandonment" が終幕近くまでかなり面白かったのに、最後は肩すかし。未知の作品にリスクはつきものだと痛感した次第だが、だからといって有名作家のものばかり追いかけていたのでは洋書オタクとは言えないでしょう。
 で、いざ読みはじめてみると、これは本当にオモロー!(かなり古い)。ボケ気味のぼくにしては珍しくピッチが上がり、もう中盤に差しかかったところだが、今日はこのあと一杯やることにしているので小休止。やっぱりワインの魅力には勝てません。
 とりあえず、今日読んだ分を簡単にまとめておこう。ここには大きな流れが2つあり、それぞれ1980年代の中ごろのインドとアメリカが最初の舞台。まずインドの村で Kavita が女の子を出産するが、夫とその家族が男の子しか受け入れないため、彼女は夫に内緒で赤ん坊をボンベイの孤児院に預ける。一方、サンフランシスコでは女医の Somer が不妊症を宣告され、インド人の夫の説得で養子をもらうことにする。その養子が Kavita の産んだ「秘密の娘」というわけだ。
 こんなふうに要約すると典型的な文芸エンタメ路線のようだし、事実そうだと思うのだけれど、今まで読んだ20年間の流れの中で夫婦や親子の愛情と対立、仕事と育児の悩み、子供の自我の確立、貧困との悪戦苦闘など、それぞれ2つの家族が直面したいろいろな問題が示される。明日が楽しみだ!