ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

“Room”雑感(1)

 今週も多忙を極め、昨日など残業疲れでとても本を読む気になれず、チャイコンを聴いただけで寝てしまった。なぜチャイコンかというと、先月、田舎に帰る途中に観た映画「オーケストラ」がいまだに脳裏に焼きついているからで、あのクライマックス・シーンはほんとうに感動的だった! 以来、とっかえひっかえ手持ちのCDを聴いているのだが、オイストラフ盤をはじめ、やっぱり古いものほどいい。意外によかったのがレーピン盤で、これが今のところいちばんのお気に入り。

チャイコフスキー&ミヤスコフスキー:ヴァイオリン協奏曲

チャイコフスキー&ミヤスコフスキー:ヴァイオリン協奏曲

 閑話休題。今年のブッカー賞最終候補作の中で、William Hill のオッズによると2番人気らしい Emma Donoghue の "Room" に取りかかった。ほんとうは同じオッズでも Damon Galgut の "In A Strange Room" のほうから先に読みたかったのだが、7月末に注文したのになぜかまだ届かない。"Room" は今調べると、アマゾンUKのフィクション部門で第15位のベストセラー。かなり前からずっとリスト入りしている。まあ、悪くはないだろう、ということで手に取ってみたのだが…
 ううむ、まだほんの少ししか読んでいないので断定はできないが、率直に言ってこれは受賞は厳しいかも。というか、これで2番人気なのかと思うと、今年のブッカー賞はじつは不作なんじゃないかという気がしてきた。少なくとも、去年の Hilary Mantel のように前評判が高く、しかも受賞後にほかの候補作と読みくらべてみると、たしかに飛び抜けていたなあ、と思えるような大本命は存在しないかもしれない。ロングリストの段階では「大本命」に推していた David Mitchell も「傑作とまでは言えな」かったし、先週読んだ1番人気の Tom McCarthy にしても断トツの出来とは思えない。
 …ありゃ、くだらないおしゃべりを続けているうちに本書の雑感さえ述べる時間がなくなってきた。この続きは疲れていなければ明日にでも。