ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

M. L. Stedman の “The Light between Oceans” (1)

 オーストラリアの新人女流作家 M. L. Stedman のデビュー作、"The Light between Oceans" を読了。映画化が予定されているそうだ。さっそくレビューを書いておこう。
 追記:その後、本書は実際に映画化され、2016年に「光をくれた人」との邦題で日本でも公開されました。

The Light Between Oceans

The Light Between Oceans

[☆☆☆★★] 第一次大戦の記憶がまだ生々しい1926年。オーストラリア南西部のはるか沖、インド洋と南極海の境目に位置するヤヌス島。二度も流産し、今また死産したばかりの灯台守の妻の耳に、元気のいい赤ん坊の泣き声が聞こえてくる。海岸にボートが打ち上げられ、そこになんと赤ん坊が…。文字どおり息をのむほどの絶景にふさわしい魅力的な物語の幕開けである。以後、やや平板な描写とステロタイプに近い人物造形が気になるものの、やがて親子の愛情の強さ、美しさを直裁に謳いあげた圧倒的な物語の迫力にのみこまれてしまう。ヤヌスという島名どおり、おもな人物が二つの選択肢に引き裂かれて苦しむところがミソ。ごく標準的な英語なので通勤快読本ではあるが、涙なしには読めないくだりもあるのでご用心。