波が岩に砕けちる光景の魅力的なカバー写真からおわかりのとおり、これは典型的な文芸エンタメ路線。だから今年のブッカー賞のロングリストに選ばれる可能性は低いと思うが、それでもカバーだけで飛びつく「見てくれ買い」としては久々のヒットだったので、けっこう満足している。
昨日のレビューを読みかえしてみると、冒頭シーンの紹介が大半で「レビュー」とは名ばかりだが、本書の雰囲気だけは十分味わえると思う。その後もまさに「息をのむほどの絶景にふさわしい魅力的な物語」で、アマノジャクのぼくは、だけどこれ、冒頭からだいたい想像のつく展開だよな、とか、「やや平板な描写とステロタイプに近い人物造形が気になる」よね、などと重箱の隅をつつきながら読んでいるうちに、ついつい「圧倒的な物語の迫力にのみこまれてしま」った。テーマも「親子の愛情の強さ、美しさ」を謳ったもので通俗的だが、こういう文芸エンタメ小説は爆発的な人気を博することがある。映画化も予定されているそうだし、日本でもいち早く版権を取得している会社があるのではないでしょうか。
映画『喜びも悲しみも幾歳月』とくらべようとも思ったが、エアチェックをしたものの最後まで観た記憶がない。そこで、おなじく灯台守の話で昔読んだ Jeanette Winterson の "Lighthousekeeping" のレビューを再録しておこう。(点数は今日つけました)。
- 作者: Jeanette Winterson
- 出版社/メーカー: Mariner Books
- 発売日: 2006/03/13
- メディア: ペーパーバック
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