ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

Luis Alberto Urrea の “The House of Broken Angels”(1)

 ゆうべ、今年の全米批評家協会賞(対象は昨年の作品)の最終候補作、Luis Alberto Urrea の "The House of Broken Angels" を読了。これで久しぶりに同賞の最終候補作をぜんぶ読んだことになる。さっそくレビューを書いておこう。
 なお、以下のレビューは、3月14日の記事に転載しました。 

The House of Broken Angels

The House of Broken Angels

 

[☆☆☆★★★] 終幕の盛り上がりがハンパではない。怒濤のようなクライマックスのあと、エロくて、かつ、しみじみとした余韻。おかげで点数も★ひとつ高くなった。サンディエゴに住むメキシコ系移民の大家族が全員集合。一族の長たるビッグ・エンジェルの母の葬儀を皮切りに、ガンを患い余命一ヵ月と宣告された彼の最後の誕生パーティーで佳境を迎える。巻末に家系図が載るほど複雑な家族構成で、数多くの視点から交代で回想談が綴られ、お祭り騒ぎが実況中継される。長年の不和反目が再燃、過去の痛ましい出来事が胸をよぎり、意外な真実が暴露。そして和解。陽気で明るく、情熱的なメキシコ人の国民性を反映してか、激情を物語るエピソードはさらに激しく、愉快なピソードはさらに可笑しい。ドタバタ喜劇、濡れ場、派手なアクション。さまざまな局面を経て悲喜こもごも、家族そして夫婦の絆へと収斂していく。大きな流れとしては定石どおりで深みのある物語でもないが、これだけ楽しませてくれたのにケチをつけるわけには行かない。上出来の文芸エンターテインメントである。