世間はお盆休みだが、ぼくは仕事がたまっているのでけっこう忙しく、実質的に在宅勤務。とはいえ、仕事ばかりだとストレスがたまるのでボチボチ本を読んでいる。今年のブッカー賞候補作の中から、今度は Nicola Barker の "The Yips" を選んでみた。
Barker の作品を読むのは、2007年のショートリストに入選した "Darkmans" 以来だから5年ぶりである。あのときもまず、本の分厚さにビックリしたものだが、今回も相当に長い。読んでいるうちに、そうそう、"Darkmans" も最初はこんな感じだったなと思い出した。
なんだかヘンテコだけどおもしろい――Barker の作風を要約するとそう言えるかもしれない。つい先ほど読んだくだりでようやく人物関係の目鼻がついたのだが、第1章などチンプンカンプン。まず深夜、ホテルのバーで有名なプロゴルファー Ransom がくだを巻き、バーテンの Gene やウェイトレスの Jen とコミカルで活発な会話をかわしている。jazzy というか effervescent というか、そんな印象だ。これと平行して、どうも親娘らしい2人の女性が同じく丁々発止と渡りあう。ただのくだらない口論だが、リズミカルな英語も手伝ってつい引きこまれる。もし将来、邦訳が出るとしたら、訳す人はたいへんでしょうね。
やがて両方の会話はどちらもドタバタ喜劇へと発展するのだが、それを詳しく説明してもはじまらない。他愛もないと言えばじつに他愛もない話ばかりだし、ぼくの文章力ではドタバタぶりをうまく伝えられそうもない。何度もクスっと笑ってしまった、とだけ述べておこう。
それにしても、いまだに全貌がつかめない。いかにも Barker らしいフシギな小説だ。とにかく長大な作品なので、今のところ、「なんだかヘンテコだけどおもしろい」細部を楽しむしかないと腹をくくっている。ただ、"Darkmans" のほうがもっとおもしろかったかな。さてどうなりますか。