ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

“Seven Houses in France” 雑感

 きょうで帰省はおしまい。故郷の宇和島から松山に引き返し、飛行機に乗るまでの時間を利用して、ネットカフェでこれを打ちこんでいる。
 ほんとうは坂の上の雲ミュージアムを見学したかったのだが、あいにく月曜日は休館とのこと。春に父の一回忌でまた帰省するので、そのとき訪れることにしよう。
 お昼はいつも利用している〈つるちゃん〉で、季節限定の「ずわいがにと卵とじうどん」を食べた。市駅から大街道にかけての中心街でぼくが食べた中では、ここがいちばんおいしい。今回も大満足!
 閑話休題宇和島からのバスの中で、Bernardo Atxaga の "Seven Houses in France" を読みはじめた。パブリシャーズ・ウィークリー誌が選んだ去年のベスト作品のひとつで、スペイン語からの英訳である。これをバッグにいれたのは、旅先なので軽いペイパーバックがいいと思ったからだ。
 今までの印象はなかなかいい。舞台はベルギーの植民地時代のコンゴで、反乱軍と対峙中の守備隊が駐屯している小さな村に、Chrysostome Liege という新入り将校が赴任してきたところから始まる。彼は射撃の名手だが謎の存在で、ほかの将校たちとは打ち解けようとせず、また女にもいっさい手をふれない。それゆえ、射撃大会で彼に敗れた中尉にホモ呼ばわりされる。中尉は Chrysostome をひどく憎むようになるが、なにしろ不気味な相手なので、口先とはべつに心の中では怖れている。
 タイトルに関係のあるくだりとしては、守備隊の隊長の妻で、パリにいる Christine が植民地からの収益で私腹を肥やし、すでにフランスで6軒も邸宅を所有しているのに、7軒目の家がほしいと再三要求する。しかたなく隊長は象狩りに励み、射撃に秀でた Chrysostome を重用している。
 まだ大事件は起きていない。たぶん、これからでしょう。