ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

“The Shoemaker's Wife” 雑感

 Adriana Trigiani の "The Shoemaker's Wife" を読んでいる。これは去年の暮れ、英米の各メディアが選んだ年間ベスト作品を調べていたとき、米アマゾンの Book Clubs の Literary Fiction コーナーで見つけたものだ。
 同クラブを利用するのは、去年の7月に読んだ Isabel Wolff の "A Vintage Affair" [☆☆☆☆] 以来、こんどが2回目である。"A Vintage Affair" はほんとにゴキゲンな本だったが、いま新しいリストを見ると、トップは Vanessa Diffenbaugh の "The Language of Flowers" [☆☆☆★★★]。以下、1ページ目に載っている全28作中、13作が既読であることがわかった。どれも通勤快読本といっていいだろう。Hilary Mantel の "Wolf Hall" [☆☆☆☆★] だけは、持ち運びにちと不便かな。
 Adriana Trigiani のことは、前から名前だけは知っていた。"Home to Big Stone Gap" (2006) のペイパーバック版 (2007) が出たときジャケ買いしたからだ。以来、同書は積ん読のままだがずっと気になっている。そこへ登場したのが、この "The Shoemaker's Wife" (2012)。しばし迷ったのち、最新作から手をつけることにした。
 ついでにほかの作品も調べてみたが、といってもカバー写真と評価、レビュアー数を見ただけだが、Trigini は有名なベストセラー作家らしい。え、あんた、相当に遅れてますなあ、と笑われそうだ。もしかしたら、すでに邦訳の出ている作品もあるかもしれない。
 ってことは、本書は文芸エンタメ路線にちがいない。どれどれ、とやおら読みはじめたのだが、今はもう完全にハマってます!
 20世紀の初め、イタリア・アルプスを望む山の村で、夫を亡くした女が幼い2人の息子を尼僧院に預けるところから物語がはじまる。力仕事が得意な弟 Ciro が主人公だ。ついで、さらに山奥の村に住んでいる一家が登場。貧しい子だくさんの家で、責任感の強い長女 Enza が両親を助け、料理や子守など何から何まで切り盛りしている。
 と、ここまで読めば、きっとこの Ciro と Enza が将来結ばれるんだろうなと想像がつくのだが、以後、"The Shoemaker's Wife" というタイトルどおりの物語になるまで相当に長い。通俗的な言い方だが波瀾万丈、小さな活字で475ページもある。が、とてもおもしろい。
 ……例によって中途半端な紹介だが、早く先を読みたいのできょうはこのへんで。