ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

“Home to Big Stone Gap” 雑感

 "The Shoemaker's Wife" の続報だが、いま検索すると、米アマゾンの Literature & Fiction 部門で、4ヵ月以上連続してベストセラー Top 100 入りを果たしているようだ。そのうち邦訳が出るかもしれない。それとも、もう出ているのかな。
 さて、今週は同書より以前の Adriana Trigiani の旧作、"Home to Big Stone Gap" を読んでいる。同じ作家の本をつづけて読むのは、ぼくとしては、きわめて異例のことだ。読書記録を調べてみると、8年前の夏のフォークナー以来である。
 これはべつに Trigiani がいたく気に入ったからというわけではない。先日も書いたとおり、今年の目標のひとつとして〈旧作探訪〉を掲げているからだ。
 ただ、取りかかる前に少し迷った。調べてみると、この "Home to Big Stone Gap" は、Trigiani のデビュー作 "Big Stone Gap" (2000) から始まるシリーズ物の第4作ということらしい。ならば当然、第1作をまず読むべきではないか。が、同書は架蔵していない。そちらを注文して先に読む手もあるが、長らく積ん読中の近作のほうをこの機会に読んでおかないと、いつまた食指が動くか知れたものではない。
 そう思って読みはじめたのだが、これは判断ミスでしたね。たんなる直感だが、第1作の "Big Stone Gap" は相当におもしろい作品のような気がする。それが大好評を博した結果、"Big Cherry Holler" (2001)、"Milk Glass Moon" (2002) と書き継がれ、そしてこの "Home to Big Stone Gap" (2006) に至ったのではないだろうか。そんなこととはつゆ知らず、ぼくは本書をジャケ買いしていたわけです。未読の方は、順番どおり読んだほうがいいでしょう。
 というのも、ここには昔のエピソードらしき出来事がいくつも紹介されている。たぶん、このシリーズを最初から読んでいるファンなら、そうそう、そんな話がありましたなあ、となつかしく思い出されるのだろうが、上の事情でぼくは、へえそうなんだ、と以前のおもしろさを想像するしかない。
 一方、本書独自のエピソードはといえば……。ま、乗りかかった船だ。最後まで読むしかない。