ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

Robert Musil の “Five Women” (3)

 改めて "The Perfection of a Love" と "The Temptation of Quiet Veronica" の引用箇所、それからメモ書きを読み返してみると、両作のキーワードは「人間存在」「魂」「官能」のような気がする。少なくとも、この3語に関連する内容がかなりの紙幅を占めていることは確かであり、ぼくもつい、そういう要素に目をとめがちだった。その結果、われながら「いかにも一面的な感想」とは思いつつ、先日のようなレビューにたどり着いた次第である。
 再度、断っておくが、そのレビューらしきものが「Robert Musil あるいは本書の本質をとらえたものかどうかは大いに怪しい」。なにしろ Musil を読むのは今回が初めてで、ご存じの代表作 "The Man without Qualities" も長らく積ん読中。やはり、同書を読まなければ Musil について語る資格はないのかもしれない。
 ところが、この "Five Women" を読んでから書棚に鎮座している同書をながめると、何やら大山塊のように思えてきた。あれを頂上まで登りつめるのは、今のぼくには至難の業ではないだろうか。
 と、ページもめくらずに恐れをなしているわけは、上の2編では、「おそらく原作の文体を忠実に再現したものと思われる晦渋な表現が連続し」ていたからである。それを仕事の合間に読みつづけるのは、かなりしんどい作業だった。
 まるでカタツムリくんのペースだったが、そのぶん、上の3語にかんしては本書の作品世界を十分味わうことができたものと思っている。たんなる自己マンですが。
 ほかにもまだ少し考えたことがあるのだが、きょうは半ドン。明日は日曜だが出勤。しばし休養が必要である。この続きは、もっとじっくり考えてからにしよう。