ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

"The Magician's Assistant" 雑感(2)

 ゆうべ一杯やりながら、久しぶりに『評決』を見ていたら驚いた。といっても、すっかり忘れていただけの話だが、なんとシャーロット・ランプリングが出ていたのですね。
 『愛の嵐』や『さらば愛しき女よ』のころより少し老けてはいたが、すぐにわかった。すごい目だ。シャーロット・ランプリングといえば、ぼくはその2作でノックアウト。あのトカゲのような美しさは、まさに「妖艶」としか言いようがない。ご面相だけなら、ドミニク・サンダさまに次いで大好きな女優かも。
 そのランプリングが『評決』では、悪徳弁護士ジェイムズ・メイスンと内通。それを知った正義の弁護士ポール・ニューマンは愕然とする。相思相愛と信じていた女にダマされ裏切られたからだ。よくある話だけど、美男美女が演じると、それほど平凡には思えないからフシギです。
 前々回にぼくは、「長いあいだムダ飯を食っていると、知りたくなかったこと、知らないほうがよかったことを不幸にも、いやおうなく知ってしまうことがある」と書いたばかり。そのときは思い出さなかったが、中島美嘉の「Dear」にもこんな歌詞がある。「知りたくも無い真実でさえ 時に知ってしまうけど」。これが映画『八日目の蝉』の中で流れてきたときは、思わず目頭が熱くなりましたね。
 さて、この "The Magician's Assistant" でも、「知りたくも無い真実」が明らかにされる瞬間がある。魔術師の夫 Parsifal が死んだあと、助手で妻の Sabine の前に弁護士が現われ、衝撃の事実を告げる。Parsifal の本名は Guy Fetters。妻である自分のほかに、夫には誰も身寄りがないと思っていたのに、じつは母親と姉妹がいた! 自分の愛した男はいったい何者だったのか。
 こんな興味津々のストーリーを途中で読みやめるとは自分でも信じられないが、今週はいままで、風呂上り用の『海を抱いたビー玉』も、就眠儀式用の『吉祥天女』もぜんぶストップ。心身ともに絶不調だった。
 と、ここまでノリントン盤「魔笛」を流しながら書いていた。オペラはさっぱりわからないが、ところどころ、ど素人の耳にも心地よい調べがある。ちょっぴり元気が出てきました。
(写真は、宇和島市神田川原(じんでんがわら)にあったぼくの生家(再アップ)。父の49日の法要で帰省した際に撮影。その前年、近所の人の話では、同じ貧乏長屋の隣りの家が台風で倒壊。いまでは生家も更地になっている)