ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

"The Good Terrorist" 雑感 (1)

 先週 Alice Munro の短編集を読みおえた翌日、青森に出かけた。前からぜひ、それも冬場に太宰治の生家、斜陽館を訪れたかった。
 思ったほどの積雪量ではなかったが、それでも途中寄った弘前五所川原、そして斜陽館のある金木はもちろん雪の中。五所川原に一泊した翌朝、駅前の店先でせっせと道の雪かきをしていた人々の姿が忘れられない。
 斜陽館はほんとうに大きな家で、こんな家の坊っちゃんとして育つと、その後のものの考え方にも多少は影響するのかも、と貧乏長屋育ちのぼくは思った。例の黒マントを羽織って記念撮影したが、案内どおり、けっこう暖かいマントだった。
 館内の資料館には直筆原稿や写真などが展示されてあり、一見の価値あり。ただし、太宰の生涯については、自殺未遂や心中のことなど、ネット情報のほうが詳しい。学生時代以来、太宰からはずっと遠ざかっているが、これを機にボチボチ読み返そうと思っている。
 ボチボチといえば、新幹線の車中などで少しずつ1985年のブッカー賞最終候補作、Doris Lessing の "The Good Terrorist"(1985)を読んでいた。サッチャー時代のロンドンが舞台で、取り壊しの決まった家に無断でコミュニストの一団が住みつく話。IRAへの参加を決めたとあるので、いずれテロ活動が始まるのかもしれない。
 旅行中に読み切ろうと思ったが、とんでもない。もっと面白い本を持って行くべきでした。
(写真は斜陽館。ふぶく日や斜陽の館ひとり立つ)