ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

2021-08-01から1ヶ月間の記事一覧

Patrick Modiano の “Honeymoon”(1)

ゆうべ、フランスのノーベル賞作家、Patrick Modiano の "Honeymoon"(1990, 英訳1992)を読了。さっそくレビューを書いておこう。 Honeymoon (Verba Mundi) 作者:Modiano, Patrick David R. Godine Publisher Amazon [☆☆☆★] ラストの虚無感、喪失感がたまら…

Anuk Arudpragasam の “A Passage North”(1)

きのう、今年のブッカー賞一次候補作、Anuk Arudpragasam の "A Passage North"(2021)を読了。さっそくレビューを書いておこう。 A Passage North 作者:Arudpragasam, Anuk Granta Books Amazon [☆☆☆★★] 人生にはかならず、来しかたをふりかえる瞬間がある…

Leone Ross の “Popisho”(2)

これは先月、今年のブッカー賞ロングリストの発表直前に読みおえた。現地ファンの入選予想ランキング第8位ということで、なんとか滑りこみセーフを期待したのだが、当てはずれ。本書はあえなく選外となってしまった。 ただし、読みはじめたときからイヤな予…

Rachel Cusk の “Second Place”(1)

今年のブッカー賞一次候補作、Rachel Cusk の "Second Place"(2021)を読了。さっそくレビューを書いておこう。 Second Place: Longlisted for the Booker Prize 2021 (English Edition) 作者:Cusk, Rachel Faber & Faber Amazon [☆☆☆★★] ふつう小説では、…

Natasha Brown の “Assembly”(2)

今年の1月、"Introducing our 10 best debut novelists of 2021" と題されたガーディアン紙の記事を目にした海外文学ファンも多いことだろう。(https://www.theguardian.com/books/2021/jan/31/introducing-our-10-best-debut-novelists-of-2021)が、ぼく…

William Faulkner の “The Reivers”(2)

いまでこそ、「なにから読むか、フォークナー」などと気どったタイトルの記事を本ブログに載せているが、じつは Faulkner を英語で読むようになったのは2000年の夏から。そう遠い昔ではない。 高校時代には翻訳で『八月の光』その他を読んでいたものの、大学…

Ivy Compton-Burnet の “Manservant and Maidservant”(2)と、英米小説ベスト13

Ivy Compton-Burnet(1892–1969)というイギリスの女流作家がいることを知ったのは、たぶん学生時代ではないか。必要があって英文学史の本を読んでいるとき、こんな作家もいる、くらいの扱いで名前を目にしたような気がする。 その後、小林信彦氏の『小説世…

Yaa Gyasi の “Transcendent Kingdom”(2)

Yaa Gyasi の作品は初読かと思ったら、5年前の夏、処女作の "Homegoing"(2016)を読んでいた。 いま振り返ると、当時はちょうどブッカー賞ロングリスト発表の直前ということで、現地ファンのあいだで入選を有力視されていた同書に興味をおぼえたようだ。レ…

Louise Erdrich の “The Night Watchman”(1)

今年のピューリツァー賞受賞作、Louise Erdrich の "The Night Watchman"(2020)を読了。さっそくレビューを書いておこう。 The Night Watchman: Winner of the Pulitzer Prize in Fiction 2021 作者:Erdrich, Louise Little, Brown Book Group Amazon [☆☆☆…