ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

“A Gate at the Stairs” 雑感(5)

 この土日で読了するはずだったが、何かと雑用に追われ、今日の午後になってやっと取りかかった。最近めっきり読書量が減り、その意味でもストレスがたまる一方だが、今はそういう時期だとあきらめている。
 今回読んだ範囲は青春小説、家庭小説、そしちょっぴり社会小説というおもむきだ。社会小説というのは、主人公の Tassie がベビーシッターとして世話をするようになった子供が二歳の混血黒人で、人種差別問題にかなり紙幅が割かれているからだが、ありがたいことに政治的なプロパガンダ色は皆無。黒人の子供をもつ白人の母親たちのコミカルなゴシップを Tassie が耳にするという設定で、いわば間奏曲のような扱い方だ。
 青春小説篇としては、Tassie が大学で知り合った若者に恋をする話の続き。その行く末は誰でも少し読んだだけピンとくるし、事実そうなるのだが、これは職場で「おじいちゃん」と若い子にからかわれるぼくには、正直言って感情移入しにくいエピソードだった。女々しい「おじいちゃん」なので切ない恋の話は大好きなのだが、「切なさ度」が足りないんじゃないかな。それとも女性の読者なら、また違った印象を受けるのだろうか。ともあれ、これも間奏曲のひとつと言える。
 要するに前回同様、「まだ事件らしい事件は起きていない」。Tassie を雇った Sarah が何やら昔の大事件を告白しようとしているのだが、全貌は不明。のこりのページ数から察するに、これから大いに盛り上がらないことには「間奏曲」だらけになってしまう。そうならないことを期待しよう。