ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

“Skippy Dies”雑感(3)

 がんばればレビューを書けそうなところまで読み進んだが、このあと酒を飲むことにしているので今日はもうあきらめた。それにしても長い小説だ! ひょっとしたら、今年のブッカー賞候補作の中でいちばん長いかもしれない。こんなにつき合ったんだから、ぜひともショートリストに残ってもらいたいものだ。
 今までの雑感では、これは「泡沫候補」だが「読み物としてはけっこう面白い」などとバカにしていたが、「肩の凝らない小説」なんてとんでもない見当違い。読めば読むほどヘヴィな内容が続いている。「おおよそ想像がつく展開」というのも大ウソで、あと40ページなのに結末の予想もつかない。ボケ+夏バテのせいでしょうかね。
 ただし、「総合学園小説」というレッテルを貼ったのはどうやら正しいようだ。要するに「教師と生徒双方の立場から交互に学校生活を描いたもの」であり、そのため、学校という人生経験の場、あるいは教育現場でおよそ考えられる具体的な問題が奔流のようにどんどん出てくる。それは大げさに言うと、混迷する現代の象徴とも思えるほどだ。学校という端的な例を挙げながら現代の混乱の諸相を描いたもの、とでも言おうか。
 それだけでも「肩が凝りっぱなし」なのに、文体がまたすごい! 当初の「青春小説+ラブコメ」という印象とは大違いで、ときに「意識の流れ」の技法がもちいられ、人生の問題にぶつかって思い悩む生徒の、教師の嵐のような心理状態が滔々と綴られる。いわゆる学園物を読んでいて「意識の流れ」に出くわしたのは初体験で、「目新しさがない」などと前回書いてしまったのがお恥ずかしい次第。
 …あ、かみさんがお呼びなので、今日はこれにて。