ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

“The Reapers Are the Angels”雑感(2)

 今日はいくらも進まなかった。これからストレス発散のため一杯やることにしているので、それまでに昨日書き切れなかった分だけ書いておこう。
 「単なるホラー小説を超えた要素があるにちがいない」と期待して読みはじめた本書だが、その要素とはおそらく、主人公の15歳の少女がいかに精神的に成長するか、という点と無縁ではないように思う。彼女は孤児院育ちで両親の記憶もないが、弟かもしれぬ少年と、血のつながりはないが「叔父」と呼んでいた男と3人で行動していた時期がある。「叔父」は彼女に射撃や武術、車の運転などを教え、おかげで彼女は今や、ゾンビや荒くれ男、助平おやじなどを次々に撃退する剛の者。凄惨なシーンに派手なアクション・シーンが加わり、それがまた、ゾンビの跳梁する終末の世界を舞台にしているとあって、本書はまるでホラー小説と破滅テーマのSF、冒険小説が三位一体となったかのような作品だ。
 そういう危険な状況で生き残るべく、少女は身体能力的にはタフでハードな人物なのだが、心のほうはどうかと言うと、どうやらトラウマをかかえているらしい。今や一人で行動するようになったいきさつが関係しているようだが、ネタばらしは避けたいし、まだ詳述されていない部分もある。とにかく少女は心の中で傷つきながら、タフでハードな戦士として生きている。
 なんだか定番の設定のような気もするが、終末の世界における「(人生の)意味の追求」や「善悪の区別」に少女がこだわっている面もあり、これから意外な掘り下げを期待できるかもしれない。また彼女は現在、自分に手を出そうとした男を殺したおかげでその兄から命をねらわれる一方、たまたま出会った痴呆気味の男の面倒を見ている。
 そんな展開の中で彼女がいかにトラウマを克服し、精神的に成長をとげるか…いやあ、これはますます目が離せません!