今年のアレックス賞受賞作の一つ、Alden Bell の "The Reapers Are the Angels" を読了。例によってさっそくレビューを書いておこう。
[☆☆☆★★★] まさかこんな結末が待っていようとは。巻頭から終幕寸前までまぎれもなく、ホラー小説、破滅テーマSF、冒険小説である。ゾンビが跳梁する終末の世界にあって、孤児の少女テンプルが超人的な戦闘能力を身につけ、襲いかかるゾンビや異様なモンスターを完膚なきまでに撃退。その凄惨な殺戮シーンは映画なら目をそむけたくなるほどで、ただもう迫力満点というしかない。だが、テンプルには悲しい過去があり、彼女は心のなかで深く傷つきながら、また、いくら生きのこるためとはいえ自分の所業に罪悪感をいだきながら、いざ危険が迫ったとたん反射的に行動する。本書はそんなタフでハードな少女戦士の精神的な成長を描いた青春小説なのか、と思ったら想像を絶する結末にしばし茫然。そこで冷静に全体をふりかえると、戦士テンプルの人生はただ凄まじいだけでなく、じつは人間の尊厳を守ろうとする感動的な生きかたであったことがわかる。「ゾンビ小説」を読んで深い感動を得られるとは、これがいちばん望外の喜びかもしれない。ともあれ、ジェットコースターさながらにアクション・シーンが連続したあとにこの終幕。おみごと!