ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

“The Lacuna”雑感(1)

 このところ血圧が高く、どうもフラフラする。旅行中に降圧剤を切らし、その後も計画停電などで何かと気ぜわしく、医者に行くのが遅くなったせいだが、うちの近所ではさすがに医薬品は不足していない。かみさんによると、ぼくの健康食である納豆とヨーグルトを手に入れるのが大変なんだそうだ。
 さて、昨日も書いたとおり、ざっと1年遅れで Barbara Kingsolver の "The Lacuna" に取りかかった。何しろ超大作ということでまだほんの序盤だが、率直に言って今のところあまり面白くない。Kingsolver といえば、ぼくには "Prodigal Summer" から受けたインパクトが非常に強烈で、あちらには冒頭からぐんぐん引きこまれたものだが、本書の場合そういうことはなかった。
 ジャンルとしては歴史小説、大河小説だろうか。どうやらのちに小説家となるらしい少年の日記が中心で、少年の母親はアメリカ政府の役人と結婚していたが、メキシコ領事と出奔。その後、べつの愛人のもとへ走り、いったんワシントンに戻って夫と復縁したあと、またもやメキシコで新しい恋人とつきあっている。
 というわけで、舞台は最初、1929年のメキシコのある小島だが、やがてメキシコシティー、ワシントンと移り変わり、今は1935年のふたたびメキシコシティー。このかん13歳の少年は20歳の青年となり、母親の恋愛沙汰をはじめ、彼がそれぞれの舞台で体験した日常の事件がしるされているのだが、なんだか長大なイントロのようで、まだまだテーマは見えてこない。中にはちょっと面白いエピソードもあり、ユーモラスな描写も目だつものの、クイクイ度(クイクイ読める度合い)は低い。今後を期待しましょう。