Barbara Kingsolver の最新作、"Flight Behavior" をボチボチ読んでいる。これはたしか去年の11月だったか、米アマゾンの月間優秀作品に選ばれているのを見かけ、へえ、Kingsolver が新作を出したのかと思ったものの、そのときはその程度の興味しか持たなかった。
それが去る3月、オレンジ賞改め、Women's Prize for Fiction のロングリストにノミネート。つづいてショートリストに入選ということで検索すると、なんと600ページを超える大作である。注文したときは、読む時間があるかな、と不安だったが、もっか超多忙にもかかわらず、ほとんどヤケクソで読んでいる。
Kingsolver の作品に取り組むのはこれで3冊目だ。代表作という評判の "The Poisonwood Bible" は恥ずかしながら未読だが、まず、"Prodigal Summer" [☆☆☆☆★] にノックアウト。これはほんとにすばらしかった! 読書記録を調べると、7年前に読んでいる。ぼくが現代文学に完全にのめりこむきっかけとなった作品のひとつだ。
次に読んだのが、2010年のオレンジ賞受賞作 "The Lacuna" [☆☆☆☆]。"Prodigal Summer" ほどいいとは思わなかったし、いまもその評価は変わらないが、当時の駄文を読み返してみると、途中からけっこうハマってしまったようですな。
さてこの "Flight Behavior" だが、いま米アマゾンで検索すると、レビュー数994で星4つ。たいへんな人気を博している。が、ぼく自身の途中評価は、☆☆☆★★くらい。これからきっと盛り上がるんでしょうね。
テーマはずばり、エコロジーだ。舞台も南アパラチアということで、"Prodigal Summer" とおなじ系列の作品と思われる。ただ、同書は冒頭からクイクイ読めたのに、こちらは "The Lacuna" とおなじく、最初はどうもノリがわるい。しかも困ったことに、"The Lacuna" とちがって、「中盤を過ぎたあたりでエンジン全開」というわけでもない。
いや、エコロジーのテーマが前面に押し出されるあたりから「エンジン全開」と言っていいのかもしれないけれど、"Prodigal Summer" とは異なり、なんだかエコロジーの教科書でも読まされているようなのが興ざめである。ほかにもまだ気になる点があるのだが、きょうはこれくらいにしておこう。