ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

Winifred Holtby の “South Riding”(2)

 ああシンドかった、というのが率直な感想。超多忙なおり、当初から「読む本を間違えた」と思ったものだが、案の定、えらく時間がかかってしまった。こんなとき、自分に合わない本はさっさと放り出せ、という趣旨のアドバイスを語学指南書などでよく見かけるが、ぼくはべつに英語の勉強のために洋書を読んでいるわけではないので、よほどのことがないかぎりギヴアップはしない。が、それにしても、これは夏休みあたりに読めばよかったな。
 がんばって読破した理由はただひとつ。雑感でもふれたとおり、1936年の旧作である本書は、今まで4回も映画やテレビ、ラジオでドラマ化されている。「その人気の秘密は何なのだろうか」。一方、たとえば "The Oxford Companion to English Literature" (4th ed.) などで無視されているように、「作者 Winifred Holtby はなぜ文学史の中で埋没してしまったのか」。この2点を解明したかったからだ。
 昨日のレビューらしきものは、第1の疑問にたいするぼくなりの答えである。例によってあちらのレビューはいっさい読んでいないので、実際、イギリスの読者がどんな感想をいだいているのかは皆目分からない。たぶんこのあたりに惹かれるのでは、と想像しながら書いた駄文なので、とんでもない勘違いをしている恐れがある。イギリス通の文学ファンには、だから素人は困るんだよな、と笑われそうだ。
 第2の疑問だが、これはすでに雑感で思わせぶりにぼくの考えを述べておいた。本書とほぼ同じ年代の作品で、文学史にのこっているロレンス『チャタレイ夫人の恋人』(28)、ウォー『衰亡』(28)、グリーン『権力と栄光』(40) などと較べると、彼我の差は歴然としている。ぼくがすっかりカタツムリ君になってしまったのは超多忙ということもあるが、じつはこの「彼我の差」も関係している。
 …長くなりそうだ。またまた思わせぶりな話になってしまったが、今日はもうおしまい。