ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

“The Age of Miracles” 雑感

 米アマゾン上半期ベスト10小説のひとつ、Karen Thompson Walker の "The Age of Miracles" を読んでいる。読書予定になかった「飛び入り」の本で、ベスト10のトップに載っている本書を見かけ、何となくおもしろそうな気がしたので、内容もたしかめずに買ってしまった。
 事実、これはとてもおもしろい! ジャンルはSFでしょうか。ある日を境に突然、1日の時間が少しずつ長くなり、今読んでいるくだりでは1日ほぼ48時間。重力にも変化があり、野球のボールが飛ばず、鳥がどんどん死にはじめる。よろず予定に狂いが生じ、旅客機は欠航、学校の授業は大混乱。遅くなったが主人公は11歳の少女 Julia で、住んでいるハリウッド近郊の街では、見えるはずのなかった皆既日食が突然起こって真っ暗になり、生徒たちはこの世の終わりかとパニックにおちいる。
 この社会的混乱を解消すべく考案されたのが、太陽が出ていようといまいと、従来どおり1日24時間として何もかも運営するという clock time 方式だ。そこで授業中に日が沈んだり、夜に学校が始まったりする。これに違和感を覚える人々も当然いて、彼らは real time で暮らそうとするが、社会全体は clock time で動いている。その結果、real-timers への迫害が始まる。
 今までざっとそんな話なので、これはいわゆる終末テーマのSF、それも天変地異による破滅ものということになりそうだ。ああ、こんな本に出会うとわかっていたら、J. G. Ballard の "The Crystal World" あたりを読んでおけば、したり顔で比較なんぞできるのだが、なにせ学生時代から積ん読中。SFの名作は、ほんとに読み残しが多く、お恥ずかしいかぎりです。
 という事情で先が読めません。さあ、いったいどうなるんでしょう。ワクワク!