知り合いのオーストラリア人に例の一件を話したところ、'You have read a dangerous book! I guess you're in a dangerous situation.' と笑いながら言われた。なるほど、記事の削除は、ぼくの身の安全を考えてのことだったのか。それなのに大騒ぎして記事を復活させたとは、とんだやぶ蛇だったわけだ!?
閑話休題。まったく予定になかった本だが、H. E. Bates の短編集、"A Month by the Lake & Other Stories" を読んでいる。敬愛する故・双葉十三郎氏の『愛をめぐる洋画 ぼくの500本』をパラパラめくっていたら、『湖畔のひと月』がふと目にとまった。「H・E・ベイツの小説が原作」というレビューの書き出しにビックリ。え、"A Month by the Lake" が映画化されていたのか! 恥ずかしながら、まったく知りませんでした。
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映画は安売りのブルーレイも出ているので、観てから読むか、読んでから観るか迷ったが、洋書オタクとしてはやっぱり後者でしょう。今まで表題作のほか数編読んだかぎりでは、「大人の小説ですなあ」というのが第一印象だ。
驚いたことに、表題作の舞台はなんと、イタリアのコモ湖のほとりである。たまたま Cesare Pavese の "The Political Prisoner" と "The Beautiful Summer" を読んだばかりなので、イタリアつながりに奇妙な偶然の一致を感じる。湖や山などの風景描写は当初こそ、Pavese の心象風景とくらべて見劣りするような気もしたけれど、ああ、これはイギリスの伝統的な小説でおなじみの描き方だぞ、とそのうち思い出した。すると、これはこれでいいなあ、と評価を訂正。今日はそんなところです。