ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

“Tigers in Red Weather” 雑感

 アマゾンUKが選んだ去年の優秀作品のひとつ、Liza Klaussmann の "Tigers in Red Weather" に取りかかった。まずタイトルが奇抜だし、黄色い水着姿の女性をえがいた表紙も大いによろしい。そしてなにより、早くもペイパーバック化されている。未知の作家の未知の作品に手を出すときは、だいたいこのパターンですな。シノプシスやレビューはまず読んだことがない。
 同じくアマゾンUKのリストをもとに読んだ Jonas Jonasson の "The 100-Year-Old Man ...." とちがって、こちらは最初、かったるい。が、しばらくつき合っているうちに、だんだんハマってきた。
 パラパラめくったところ、どうも5部構成らしく、それぞれおたがいに関係のある5人が交代で主役をつとめるようだ。きょうはやっと第2部まで進んだが、第1部との関連はあまりない。長編というより、連作の中編小説集といったほうがいいかもしれない。
 Klaussmann はイギリスの新人作家らしいが、本書の舞台はアメリカで、まず第二次大戦直後、若い夫婦 Nick と Hughes の微妙な心の距離がじっくりえがかれる。Nick というから男かと思ったら、間違いなく女でした。
 Hughes は海軍中尉で、イギリスから帰国したばかり。帰国前にはお熱いシーンもあるし、Nick が夫を思う気持ちも強そうなのだが、再会した二人の関係はなぜかしっくりしない。その原因は……というのが読みどころだが、べつにどうってことのない話だし、ちと「かったるい」ですな。
 ところが第2部、二人の娘の Daisy が主人公になると、にわかに人物の動きが活発になり目が離せなくなる。……きょうは、これくらいにしておきましょう。