ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

“Beautiful Ruins” 雑感 (2)

 きょうは、ある方面では毎年、日本でいちばん長い日である。と書いただけで、ぼくの本業がわかる人もいるだろう。
 で、結果は、数としては過去最高ではなかったが、〈ライバル社〉に大差をつけて勝ったという意味では新記録達成! 思えば去年の〈仕込み時期〉に、このブログをかなりサボってまで仕事に没頭した甲斐があった。むろん、ぼくひとりの努力によるものではないが、自分なりにがんばったことも確かなので、うれしい。
 ……などと、柄にもなく、つい〈娯楽人生〉らしからぬことを書いてしまった。ほんとうは、きょうの最高の瞬間は、この "Beautiful Ruins" を読んでいて、思わずホロっとなってしまったときだった。やっぱり年ですなあ。
 きのう紹介した最初の2章、とりわけ過去編の第1章からして、これはありふれた恋愛小説かと思ったのだが、なんのなんの、その後、けっこう複雑な展開になっている。そのあたりがさすがプロ作家である。ど素人のぼくでも、風光明媚なリゾート地で男が女にひと目ぼれする話なら書けそうな気がするが、そこから先や、そこにいたるまでの経緯をふくらませるとなると、まず無理だ。
 そのふくらまし加減についてネタを割ることはできない。差し障りのないところでいうと、過去編でなんと、リチャード・バートンが登場し、かつ重要な役を演じているのには驚いた。制作中の映画『クレオパトラ』や、クレオパトラ役のエリザベス・テイラーについて、いかにもまことしやかな裏話を披露する。このくだりをはじめ、コミカルな会話やエピソードが混じって大いに楽しい。さて終盤どうなりますか。
 蛇足だが、あの映画は周知のとおり、クレオパトラのローマ入城シーンがハイライト。あのド迫力だけは映画館でないと体感できない。どんな大型テレビをもってしても再現不可能だろう。エリザベス・テイラーもハマリ役でしたな。