連休が明けたとたん繁忙期。とてもじゃないがブログを更新するヒマがなかった。「ブログはヒマな人がやるもの」といつか言われたのを思い出す。
それでも表題作は通勤快読。読んでいるうちに眠りこけることもなく、コマギレながら楽しく読んでいる。
その理由はすでにいくつか指摘したけれど、短い章立てになっていることも要因のひとつだ。各章が長いと、ぼくのようにほとんど通勤読書人の場合、これ、どんな話だっけ、となることが多い。
風呂上りに少しずつ読んでいる『すべて真夜中の恋人たち』がいい例だ。よさそうな本なのだが、なかなか先へ進まない。前の文脈を思い出したところでふっと眠くなる。
その点、"Chateau of Secrets" のほうは、どうやら書斎派ではない文学ファンを意識して書かれたフシがある。そうとしか思えないほどテンポがいい。場面もさっと切り替わる。こんな文芸エンタメ、机に向かって読む人は少ないのじゃないかしらん。室内でも、せいぜいカウチポテト族だろう。
小さな山場にさしかかり、え、どうなるんだろう、とハラハラするうちに章が終わる。すると、現代篇なら現代篇で示された、この人だれ?とか、この人たちはどんな関係?といった謎が、過去篇のさりげない記述で解ける。やがてまた小さな山場が訪れ、といった繰り返しなのだが、ほんと、うまいもんです。
ふたつの時代の物語が平行して進む場合、いつかどこかで必ず結びつく。わかっちゃいるけど、登場人物より読者のほうが先に真相を知る、という展開のおかげで、すっかりハマっている。
(写真は、宇和島市神田川原(じんでんがわら)の街並み。このお宅は昔はお菓子屋さん。中には50銭のお菓子もあり、たしか1日1円くらい買い食いしていたような気がする)