ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

“Jane Eyre” 雑感(1)

 みなさま、新年明けましておめでとうございます。
 と本ブログで新春のあいさつを述べたのは今年が初めてだと思う。New Year's resolution の表明です。昨年は最後の記事で書いたとおり読書量が激減。そこで今年はもっと本を読むぞと決心しました。
 が早くも脱線、上の記事と同じく「その前にスキー」。おとといスキー旅行から帰ってきた。宿泊先はトマム

 このゴンドラに数回乗り、写っているコースもなんどか滑走した。十何年ぶりかのスキーだったが、意外にも足がおぼえていて、三日め、最終日には緩斜面でパラレル、中斜面でもパラレルもどきができるようになった。
 その中斜面では、ばんばん飛ばしまくるドラ娘について行くのが最初たいへんで、しばしば腰が浮いて転びそうになったが、なんとか踏んばった。たぶんジムで足腰を鍛えていたおかげだろう。
 できれば近いうちにまた滑りたいところだけど、家人はまったく興味を示さず、ドラ娘も仕事で忙しい。行くなら、ひとりで行くしかない。それでも滑りたいかどうか。
 能登地震のことは、リフトに乗っているとき、ほかのスキー客から聞いて知った。帰宅後さっそく家内外の掃除をしていると、2便あとのJAL機が羽田空港で海保機と衝突というニュース。これ以上、大きな事件や事故、災害がつづかないといいのだけど。
 ここからやっと本題。("The Bee Sting" の落ち穂ひろいのつづきは次回にでも)。行き帰りの飛行機のなかでは "Jane Eyre"(1847)を読んでいた。ほんとうはホテルでも、のはずだったけれど、一日6~7時間も滑りまくったので夜はバタンキュー。行きのバスではスキーのYouTubeを見てひたすらイメトレ。帰りのバスは夢のなかだった。
 そんなわけでまだいくらも進んでいないが、少し気のついたことがある。
 まず、英語はとても標準的だ。大昔、大学受験のため上京したとき、人生で初めて買った洋書の一冊は "Wuthering Heights"。受験がおわってひと息つき、さてどんなもんじゃろかい、と読みはじめたところ数ページで挫折。いま思えば、英語的にはお姉さんのほうに取り組むべきだった。しかし当時は原書を持ちあわせてもいなかった。やはり妹のほうがぼく好みだった。
 邦訳で感じていた姉妹の差は今回もすぐに感じた。シャーロットもすごいが、エミリーとなると超すごい。ただ、"Wuthering Heights" はいまだに完読したことがない。ゆえにどこがどうすごいのか、姉との差はどんなものか、といった点は(頭のなかにとどめ)カット。
 それより英語の話にもどると、ぼくはその後、"A Farewell to Arms" を読んで英米文学にハマり、さらにその後、"The Bell" にいたく感動するも、ふだん勉強用に選んだテクストといえば、イギリスなら Dick Francis, Alistair MacLean, アメリカなら Raymond Chandler, Ross Macdonald。もっぱらエンタテインメントばかりで、これもいま思えば、"Jane Eyre" のように正統的な英語から入るべきだった。
 つぎに Jane の人物像。高校生のときどう思ったかはアヤフヤだが、彼女はなかなか合理主義者、それも近代合理主義の体現者ではないか、という気がする。'Unjust―unjust!' said my reason ...(p.22)
 反面、旧来の身分制度にまつわる価値観から脱しているわけではない。I could not see how poor people had the means of being kind ... I was not heroic enough to purchase liberty at the price of caste.(p.32)
 なにしろ有名な古典なので詳細については紹介するまでもない。ぼく自身、ああそうだっけ、と思い出しながら読んでいるけれど、とにかく原書は初めて。おぼろな記憶は消し去り、初読のつもりでがんばりたい。