ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

2018-04-01から1ヶ月間の記事一覧

Ahmed Saadawi の “Frankenstein in Baghdad”(1)

今年のブッカー国際賞最終候補作、Ahmed Saadwi の "Frankenstein in Baghdad" を読了。アラビア語の原書は2013年刊、英訳版は2018年刊である。さっそくレビューを書いておこう。FRANKENSTEIN IN BAGHDAD作者:Saadawi, AhmedPenguin BooksAmazon[☆☆☆★★] フセ…

Ingrid Hill の “Ursula, Under”(2)

前回、「一般にはあまり知られていない作品かもしれない」と書いたが、じつはこれ、昔のジャケ買い本。ぼく自身、実際に読むまでどんなものか知らなかった。 入手したいきさつも憶えていない。表紙に "The Time Traveler's Wife"(未読)で有名な Audrey Nif…

Ahdaf Soueif の “The Map of Love”(1)

1999年のブッカー賞最終候補作、Ahdaf Soueif の "The Map of Love"(1999)を読了。さっそくレビューを書いておこう。The Map of Love作者:Soueif, AhdafBloomsbury Pub LtdAmazon[☆☆☆☆] もし映画化して邦題をつけるなら『愛と宿命のエジプト』。20世紀初頭…

Rohinton Mistry の “A Fine Balance”(3)

本書について、もう1回だけ駄文を書いておこう。Dina Dalal seldom indulged in looking back at her life with regret or bitterness, or questioning why things had turned out the way they had, cheating her of the bright future everyone had predi…

Ingrid Hill の “Ursula, Under”(1)

ゆうべ、Ingrid Hill の "Ursula, Under"(2004)を読了。一般にはあまり知られていない作品かもしれない。いま検索すると、Washington Post 紙の2004年ベスト小説のひとつに選ばれていたようだ。さっそくレビューを書いておこう。Ursula Under作者:Hill, In…

Rohinton Mistry の “A Fine Balance”(2)

Rohinton Mistry のことは前から気になっていた。旧作が2つ、ブッカー賞のショートリストに選ばれているからだ。そこで今回、〈恥ずかしながら未読〉シリーズの一環として、まず本書(1996)を読んでみることにした。表紙は "Family Matters"(2002)のほう…

Rohinton Mistry の “A Fine Balance”(1)

きのう、1996年のブッカー賞最終候補作、Rohinton Mistry の "A Fine Balance"(1996)をやっと読了。先週、愛媛の田舎に帰省する前から読みはじめたが、その後何かと慌ただしく、ずいぶん手間取ってしまった。はて、どんなレビューになりますやら。 追記:…

W. G. Sebald の “Austerlitz”(2)

もっか、父の七回忌その他で愛媛の宇和島に帰省中。桜は先週が見頃だったらしいが、いまはもうほとんど葉桜ばかり。かろうじて残っている花も、きょうの雨ですっかり散ってしまうことだろう。 その代わり、きのう訪れた市内天赦園の上り藤は、受付の案内によ…

Patrick Modiano の “In the Cafe of Lost Youth”(2)

ああもう、先月ハワイに出かけてから2週間もたってしまった。ほぼ40年ぶりの海外旅行で大興奮したというのに、記憶がどんどん薄れていく。息を切らしながら登ったダイヤモンドヘッド。あれはいったい何だったんだろう。 と、それと似たような思いが積もり積…