ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

“The Twin”雑感 (3)

 出張3日目。今日はさしたる仕事もなく、完全にサボりモードで昼過ぎに本書を読みおえた。さっそくレビューを書くべきところだが、何しろケータイしか使えず不便この上ない。昨日の駄文の続きでお茶を濁すことにしよう。
 「行間を楽しむ小説」、「深い余韻の中に主人公の思いがしみじみとこめられ」た作品という印象は最後まで変わらなかった。反面、大きな事件はほとんど起こらない。大昔、双子の弟が交通事故で死亡、そのフィアンセだった女が長い歳月をへて現われ、彼女の引きこもりの息子に農作業を手伝わせているうちに、あわや溺死しかけたところをその息子に助けられ、最後、介護していた寝たきりの父親が死んでしまう…。そんなものだ。
 このかん、主人公の Helmer は弟をはじめ、自分の「心に深く刻みこまれた相手のことを追想し」ながら人生をふりかえる。それは「静寂、孤独、寂寥、諦念」に満ちた人生だ。言い換えれば、深い心の絆を静かに求めながら、それが得られなかったり途切れたりし続けた人生でもある。
 そんな Helmer にとって、いちばん心の傷となっているのはもちろん、タイトルどおり双子の弟の思い出である。弟のフィアンセだった女の息子と一緒に過ごすことで、彼は何を得たのか、あるいは得なかったのか。そのあたりを行間からじっくり汲みとりたい作品だと思う。
 …ううむ、何だかレビューの下書きみたいになってしまいましたね。